HIROSEのミュージックバーへようこそ。こちらのブログでは、音楽を中心としたさまざまな情報を気まぐれに発信しています。
本日は、普段ロックや歌謡、シティポップなどを中心としている私HIROSEにとっては珍しい切り口で音楽を語っていきたいと思います。
“原宿Kawaiiカルチャー”の歴史について。
現代、FRUITS ZIPPERやCANDY TUNE、CUTIE STREETなどさまざまなKawaiiアイコンがJ-POPシーンを牽引していますよね。若者ならば誰もが彼女らメンバーの名前や代表曲を言うことができます。カラオケでも定番、今やTikTokやインスタなどさまざまなSNSの中心的存在になっています。
一昔前は、きゃりーぱみゅぱみゅがその領域を占めていました。KAWAII LAB.による”原宿から世界へ”というフレーズは、この時期を無くして生まれることはなかったのかもしれません。
導入はこんなところで。このような歴史は、実は前史としてファッション雑誌などが源流であったと紐づけることができるのです。それでは、本編へどうぞ。
【前史 : “青文字系雑誌”による原宿系ファッション文化】

90年代、「FRUiTS」や「Zipper」、「CUTiE」や「KERA」など、カジュアルでガーリーなファッションを紹介する雑誌が増えました。それが、アソビシステムの代表中川悠介氏が命名した”青文字系雑誌”です。Kawaiiカルチャーは、厳密には70年代から日本独自の美意識として始まったものらしいのですが、90年代の青文字系雑誌がサブカル系及びストリートの文脈に導入、原宿を中心に流行することとなったのです。
ストリートでは”裏原系”がよく知られていますが、原宿ファッションがKawaiiカルチャーを象徴する代表的な例が、「ロリータファッション」ですね。こういう個性的なファッションが、青文字系の流行により文化として広がっていきました。90年代は表参道に海外ブランドがたくさん降り立ったので、その影響も大きかったと思います。このあたりの歴史は、原宿カルチャーのみならず日本の文化史としてかなり重要なものであることは間違いないです。
また、私は知らなかったのですが、Wikipediaによるとこのような歴史もあるようです。このあたりの領域は専門外なので、参考文献とともに紹介させてください。

引用元 : 青文字系雑誌 – Wikipedia


(愛読書である「ファッション・スタイルとカルチャーの大図鑑」に載っていた原宿系のページ。面白いです。)
※ちなみに、70年代の当シーンでは「竹の子族」なんかも有名ですよね。このあたりもぜひ合わせて詳しく調べてみてください。
(今回は90年代以降のものに限って書いていますのでお許しください!)
【アソビシステムの設立とプロデューサー中田ヤスタカの流行】

前置き的な情報が長くなりましたが、ここからがKawaii文化と音楽の話です。
「アソビシステム株式会社」は、2007年に中川悠介氏が設立した芸能事務所及びイベント企画会社です。原宿カルチャーを広く国内外に発信し、Kawaii文化の形成に大きく貢献し続けている素晴らしい会社です。サブカルチャーの味方ながらも、メインストリームにも立ち続ける普遍的な組織となりました。

同時期に、中田ヤスタカがプロデュースを務めるグループ、Perfumeが流行の最中にありました。「ポリリズム」や「チョコレイト・ディスコ」など、近未来的なサウンドとキャッチーなサウンド&歌詞、完全に新しいポップグループが誕生、そのプロデューサーである中田ヤスタカの時代が本格的に始まっていくこととなります。
こうして、中川悠介氏が、かねてより交流のあった中田ヤスタカと、原宿を中心に読モとして活動していたきゃりーぱみゅぱみゅを引き合わせるのです。
【CAPSULEやPerfumeを経て……】

ここで簡単に、中田ヤスタカの話をしたいと思います。中田ヤスタカは、90年代よりボーカルのこしじまとしことともに、CAPSULEというユニットで活動していました。パソコンを用いたDTM(デスクトップミュージック)による作編曲を強みとして、電子的で未来的なサウンドと強気な音圧、圧倒的なメロディーセンスで知られていくこととなります。

こうして、2007年にPerfumeのプロデュースが始まります。ファーストアルバムの『GAME』は大名盤、衝撃作だと思います。ポップシーンに、ハウスなどを取り入れたこれほど硬派なサウンドが、あまりにも絶妙に溶け込むさまに驚かされます。
中田ヤスタカは、現代の音楽プロデューサーの中でも一番レベルの天才だと思っています。作詞、作曲、編曲の全てが世界一レベルのもので、あそこまでの名曲をあの量生み出せるなんて天才以外の何者でもないです。メロディーメーカーであり、コンセプトを”生み出す”ことのできる名作詞家であり、アレンジャーとしてもDJとしても誰も勝てない圧倒的な技術力があるのです。センスがあまりにも突出してる。
カリスマ級の才能があるが決して前にはほとんど出てこない。最強のプロデューサーだと思います。
【きゃりーぱみゅぱみゅ爆誕】

CAPSULE、Perfumeを経て、中田ヤスタカの音楽プロデュースにより次はきゃりーぱみゅぱみゅが一世を風靡することとなります。
雑誌やイベントなど構造的に国内でしか知られることのなかった原宿カルチャーを、中田ヤスタカ×きゃりーぱみゅぱみゅが音楽として国外へと輸出していきます。
Kawaii文化を決定づけたのが、そのタイトルや歌詞。「ファッションモンスター」や「つけまつける」など、流行語レベルのカワイイワードを生み出すことが、中田ヤスタカは本当に得意でした。イースターを祝うとともに”良いスタート”を略した「良すた」、成人の門出を祝う「ふりそでーしょん」、auのCMソングでau乗り換えをキャッチーに表現した「のりことのりお」、他にも「にんじゃりばんばん」や「インベーダーインベーダー」、「PONPONPON」や「原宿いやほい」など、全日本人の耳に残る流行語を、次々と生み出していきました。この個性的なコンセプトが、原宿文化を体現していますよね。
こうして、Kawaiiカルチャーは国内外に発信されていきます。きゃりーぱみゅぱみゅは、もちろんアソビシステムの一員。アソビシステム×中田ヤスタカ×きゃりーぱみゅぱみゅの最強布陣が完成し、Kawaiiカルチャー及び原宿カルチャーは、時代の象徴となったのです。
それにしても、あの圧倒的なメロディーセンスは何???よくここまでキャッチーな楽曲を生み出すことができますよね。男が書いたとは思えないような可愛い歌詞も本当に魅力的だと思います。プロデューサーって凄い。
【Future Bassの流行 → “Kawaii Future Bass”の成立】
同時代的に(2010年代前半)、Future Bass(フューチャー・ベース)と呼ばれる音楽ジャンルが流行しました。
Future Bassとは、キラキラしたシンセやピッチベンド、イカついサブベース、エモい音色/メロディーなどが特徴で、海外発祥のエレクトロニカのサブジャンルです。Flumeなど。
加えて、日本で、そこにポップでかわいい要素が加わりました。Kawaii Future Bass(カワイイ・フューチャー・ベース)の誕生です。
ピコピコ音及びチップチューンの多用、アニメ系/萌え系のサンプルボイス、きらめくシンセサウンドやベル、効果音……などが主な特徴。しかし何よりも、”Kawaii”要素が非常に大きく、Kawaiiカルチャー特有の美意識自体が、Kawaii Future Bassの一番の特徴であると言えます。サウンドはやはりFuture Bassが基盤になっているので、その中にKawaiiムードを感じることができるかどうかです。
Kawaii Future Bassは、海外でも一部界隈にて注目を集めました。きゃりーぱみゅぱみゅに続いて(むしろシナジー的に)、日本のKawaii美学の輸出に寄与した音楽と言えるのです。
Kawaii Future Bassにおける先駆者はSnail’s Houseだと言われています。近年ではILLITなどともコラボしており、界隈ではとんだ有名人だと聞きます。先ほど動画を記載したSnail’s Houseの「Pixel Galaxy」は、なんとYouTube再生数1億回超。驚きました。
【SNS全盛 → しなこなどインフルエンサーの台頭】
しなこは、小中学生を中心に人気を集める原宿系インフルエンサーです。ベビタピ(BABY TAPI)原宿店にてスイーツプロデューサーを務め、圧倒的な支持を獲得しています。音楽も著名で、「しなこワールド」や「グミキュンプリンセス」など、現代の原宿を席巻するKawaii系インフルエンサーなのです。
ファッションスタイルは、90年代の原宿で誕生した”デコラ系”。個性的で派手なファッションは、きゃりーぱみゅぱみゅに通じるところがありますよね。
【アソビシステムが”KAWAII LAB.”を発足 → FRUITS ZIPPERやCANDY TUNE、CUTIE STREETの登場】

青文字系雑誌の流行、原宿系の形成、中田ヤスタカ及びきゃりーぱみゅぱみゅの誕生、しなこなどインフルエンサーの登場……。これらを経て、近年再びKawaii系がメインストリームに躍り出ました。
2022年、アソビシステムが「KAWAII LAB.」(カワイイラボ)を発足しました。KAWAII LAB.は、”原宿から世界へ”をコンセプトに掲げるアソビシステムのアイドルプロジェクトです。総合プロデューサーは、元アイドル兼モデルの木村ミサ氏。
2026年6月現在、所属しているのは5グループ。FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREET、MORE STARです。
FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」「NEW KAWAII」、CANDY TUNE「倍倍FIGHT!」、CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」など、女の子の自己愛・自己肯定や前向きなファイトソングなどが一世を風靡しました。空前のKAWAIIブームが起きたのです。
また、KAWAII LAB.以外にも、超ときめき♡宣伝部や=LOVEなど、近しいコンセプトのアイドルグループが次々と大衆人気を獲得しました。いまだにその流れは途絶えていないように思います。
モーニング娘。の「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション21」、「ザ☆ピ〜ス!」などのあの能天気で極端な明るさが、今の日本には必要であると思うのです。なので、私は昨今のKAWAII系リバイバルを非常に嬉しく思います。個人的にこのあたりはそこまで聴き返すわけではありませんが(きゃりーは大好き)、とても良い流行り方をしているなと客観的に思いました。
以上、90年代以降のKawaiiカルチャー/原宿カルチャーの歴史について、でした。勉強不足により70年代の黎明期から追うことはできませんでしたが、いつかに期待してくださると嬉しいです。
本日もご愛読ありがとうございました!それではまた(╹◡╹)


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