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今回の記事は、いよいよユーミンに触れていこうというものです。というのも、「ひこうき雲」や「ルージュの伝言」、「やさしさに包まれたなら」などの荒井由実時代の曲に加えて、「春よ、来い」や「恋人がサンタクロース」、「真夏の夜の夢」などの松任谷時代の曲に至るまで、あまりにも持ち曲に有名曲が多すぎる彼女ですが、実はユーミンが提供した曲だけを挙げても、これらと並ぶレベルのラインナップになることをご存知でしょうか。その多くが、当時を生きた人ならば誰もが知る名曲となっているんですね(ガチ天才)。私HIROSE、シティポップやロック、ブラックミュージックなどに加えて昭和歌謡も死ぬほど好きなんです。ぜひこれからは同等に、さまざまな良い音楽を紹介させてください。それではどうぞ~
① 赤いスイートピー (松田聖子)
まずは、松田聖子3連続といきましょう。皆さんご存知の大名曲ですが、作詞松本隆、作曲呉田軽穂、編曲松任谷正隆となっています。この「呉田軽穂」という名前は、ユーミンの別名義なんですね。松田聖子の提供曲では、私の知る限りほぼこの名義を使用していると思います。個人的に、あまりメロディーがユーミンぽくないなと思ってしまいましたが、それでも彼女の作曲なのだから凄いですよね(作曲の幅広さがうかがえますね)。この曲に関しては、松本隆の歌詞も凄い。「春色」という抽象的な表現にも妙な説得力があるし、各Bメロに見られる恋する女性心理の解像度も高すぎる。何より情景が鮮明に浮かびますよね。
② 渚のバルコニー (松田聖子)
次も、現代にまで伝わる大名曲。作詞作曲編曲は上と同じ。冒頭のキーボードサウンドから海が目に浮かぶのは、さすが松任谷正隆と思います。松田聖子の有名曲のほとんどの作詞を松本隆が務めており、まさに松田聖子のイメージや世界観を形成していて凄いです。(はっぴいえんど等)ロックの人なのに歌謡システムに適応しているどころかリードしていますよね。メロディーセンスについてはさすがとしか言えません。というのも、いい意味で本当にユーミンらしくないと思うんですよね。アイドル的なサウンドに合わせられる松任谷正隆も、アイドル的な世界観に合わせられる松本隆も、アイドル的なキャッチーさに合わせられるユーミンも本当に凄いと思います。
③ 瞳はダイアモンド (松田聖子)
聖子ちゃんラストは、私の(松田聖子の中で)最も好きな楽曲「瞳はダイアモンド」。なんとも言えないアンニュイさがほのかに香りながらも、心を掴まれるメロディーが光っています。色んな意味で、令和7年の現代に、このような楽曲はまあ生まれないでしょうね。ユーミン提供の松田聖子有名曲は他にも、「制服」や「秘密の花園」、「蒼いフォトグラフ」など、たくさんあります。全てに聴く価値があるので、ぜひ歌謡界に少しでも興味がある方は聴いてみてほしいですね。
④ まちぶせ (石川ひとみ)
4曲目は、イントロから掴まれる大名曲、「まちぶせ」。作詞作曲荒井由実。恋する女性の未練ある行動が、70年代後期を象徴するサウンドとともに鮮明に綴られています。ユーミンと松本隆は、歌詞の情景が本当によく浮かびますよね。この楽曲は、ユーミン自身もセルフカバーしていますが、ぜひどちらのバージョンも聴いてほしいです。どちらも甲乙つけ難い個性あるアレンジで、グッと心を掴まれます。歌詞を全て読んだあと、曲名の「まちぶせ」を見返してみると、一つの短い小説を読んだ気分になりますね。
⑤ 「いちご白書」をもう一度 (バンバン)
フォークの名曲としても名高い当楽曲は、学生運動(学生ストライキ)をテーマにした歌詞が特徴です。この「いちご白書」というのは、1970年に公開された映画のことで、同じく学生ストライキについて描かれているものです。ユーミンの歌詞には、非常に「雨」が多く登場するのですが、ユーミンの曲がもつ寂しさや悲しさを色づける要素になっている気がします。当曲にも、「雨に破れかけた街角のポスターに 過ぎ去った昔が鮮やかによみがえる」とあります。70年代フォークシーンのメッセージ性あるアティチュードの要素を持っていながら、歌謡秩序に上手く属しているのが凄いですね。
⑥ Woman “Wの悲劇”より (薬師丸ひろ子)
薬師丸ひろ子自身が主演を張る映画、『Wの悲劇』の主題歌。例にならって、作詞松本隆、作曲呉田軽穂、編曲松任谷正隆の最強編成。何より、映画主題歌として最適すぎる壮大で美しいメロディーラインが最高すぎます。このマイナーコードを多用した進行が、感傷的になる要素をもっており、加えてサビの転調がそんなななかにも飽きさせない役割をもっていますね。薬師丸ひろ子はこの他にも名曲がたくさんあり、有名曲の多くを大滝詠一や南佳孝などの天才アーティストが作っているため、意外にも歌謡を知るには必須のアイドルです。
⑦ 時をかける少女 (原田知世)
先程紹介した薬師丸ひろ子と同様に、角川映画女優として名を馳せた原田知世が、同じく自身主演の映画の主題歌として歌ったのが「時をかける少女」。80年代を代表する大名曲ですね。作詞作曲ともにユーミン、編曲はもちろんのこと松任谷正隆です。非常にシンプルでキャッチーなイントロのリフが特徴で、原田知世のウブで心に響く声を活かした可愛らしい歌詞が良いですね。1983年発売のオリジナルアルバム『VOYAGER』にて、ユーミンのセルフカバーが収録されています。
⑧ 甘い予感 (アン・ルイス)
8曲目の「甘い予感」は、ユーミンが作詞作曲を手掛けアン・ルイスに提供した楽曲。非常にシンプルな作曲と構成ですが、当時の歌謡シーンに乗じてシティポップ的な要素を感じます。アン・ルイスは、この曲を契機にアーティスト的意識が芽生えたと後にコメントしていますね。アルバム『OLIVE』でセルフカバー。
⑨ 冷たい雨 (ハイ・ファイ・セット)
ハイ・ファイ・セットは、ボーカルの山本潤子を中心とする70年代の音楽グループです。ユーミンのカバーや、ユーミンからの提供が非常に多く、有名なものに「卒業写真」や「最後の春休み」がありますが、今回紹介するのは「冷たい雨」。ユーミンぽさ全開の楽曲で、編曲からは少しアメリカンポップス的な要素も感じますね。曲名の物憂げなイメージと反して、曲調はとてもポップで明るいものです。これもまた『OLIVE』にてセルフカバーが収録。
⑩ オーシャン・ブルー (稲垣潤一)
ラストは、シティポップの名曲「オーシャン・ブルー」。シティポップはよく、「和製AOR」などと言われますが、当楽曲はそれで言うと「和製ディスコ」とも言い得るべきでしょう。ユーミンの提供曲の中でも、群を抜いてカッコいい曲だと思います。後にセルフカバーも発表していますが、アレンジに関してはオリジナルのバージョンが最もこの曲に合っていると個人的には感じます(何様)。Aメロ特有の「暗くてポップ」な雰囲気というのは、この時代ではユーミンにしか出せなかったところだと思います。そして強く歌謡的。日本一のメロディーメーカーですね。
以上、ユーミンの提供曲まとめでした。自分が歌謡の歴史を辿っていく過程で、あまりのユーミンの有名曲の多さに驚いたことがあり、意外とこう簡潔にまとめられたリストが見つからなかったため、今回記事にさせていただいた次第でございます。本日もご愛読ありがとうございました!それではまた(╹◡╹)
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