R&BとHIPHOPの違いとは? 【完全版】

HIPHOP

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さて今回は、ブラックミュージック初学者の誰もが抱く疑問、

“R&BとHIPHOPの違いとは?”

について、完全にわかりやすく説明したいと思います。一聴すると、どちらも現代的なリズムミュージックという点で非常に似通っている印象を持ちますが、実は全くもって異なる音楽ジャンルであることを、この記事を読めば完全に理解できるようになると思います。興味を持ってくださった方は、ぜひ他の記事もご覧いただけると幸いです(^^)
それでは本編へ、どうぞ

【R&Bの起源について】

(R&Bの代表アーティスト、スティーヴィー・ワンダー)

まずは、それぞれの起源について知る必要があります。R&B(リズム・アンド・ブルース)の起源は、1940年代だとされています。具体的には、ブルースを基調としたポピュラーミュージックのことを指し、ゴスペルやジャズなど、広くクラシックなブラックミュージックに影響を受けています。

難しいのが、ロカビリーやロックンロールとどう区別されるのか?というところ。実際、Apple music等で入手できる初期のR&Bナンバーを聴いてみると、現代のR&Bの面影は一切なく、ただのポップスじゃん!と思うかもしれません。

しかしこれには深い理由があり、黒人の音楽チャート入りを、同じチャートに並ぶことを人種的に厭わしく思った白人が、音楽ジャンルを区別(てかほぼ差別)することで別のチャートの成績として反映させたのです。そのため、白人のポップスとは区別され、黒人のポップスのことを「R&B」と呼ぶようにしたのが実情であるようです。

話は戻りますが、ブルースやゴスペル、ジャズなど、音楽の歴史において縦軸の変遷の中で、蓋然的に誕生したジャンルの一つが、R&Bだと言えます。

【HIPHOPの起源について】

(HIPHOP界の重鎮、ドクター・ドレーとスヌープ・ドッグ)

対して、HIPHOPの起源はと言うと、R&Bのように起こるべくして起こった音楽ジャンルとは異なり、むしろ突然変異的に誕生したジャンルなのです。

詳しくは、1973年の8月11日に、DJクール・ハークがブロンクスのパーティーにて2台のターンテーブルを繋ぎレコードをかけたことにより発生したものだとされています。そのため、「サンプリング」の文化が重要な概念で、既存の楽曲にビートを乗せ、ラップ(MC)を重ねた楽曲が特徴です。

このように、R&BとHIPHOPは、時代も起源も一切異なる音楽ジャンルなのです。ただ、共通するのは、黒人が主体のリズムミュージックであるという点です。この点で、白人主体のロックとは区別されます。

【現代におけるR&BとHIPHOPの違い】

(マイケル・ジャクソン『Thriller』)

80年代は、マイケルジャクソンの登場が非常に大きな影響力を持ち、R&Bの全盛期となります。ポストパンク以降、電子ミュージックの一般化とも相まって、ロックも次第にリズムミュージックへと傾倒するケースが多く見られました。

R&Bにかなりサウンドの変化が起こり、70年代までの単なる黒人のポップスというイメージから、R&Bを象徴するサウンドや楽曲構成が確立されていき、R&Bは現在の形に落ち着いています。対して、HIPHOPは80年代に猛威を振るい、90年代にはロックの衰退とともに、一気にメインストリームへと駆け上がります。こうして、ロックの時代が終わり、残ったのはR&BとHIPHOPでした。DTM等のトラック文化が主流となった現代において、これらのジャンルが生き残るのはある意味合理的であったと言えます。

(現代のHIPHOP王者、ケンドリック・ラマー)

さて、そろそろ結論を出したいと思います。
現代においては、正直なところ、かなりサウンドが似ているため、R&BとHIPHOPはほぼ同じ音楽ジャンルであると言えます。しかし、HIPHOPには「ラップ」がありますね。
したがって、

現代において、「R&BとHIPHOPの違いは、ラップをしているかどうか」

という結論が出そうです。なお、絶対に忘れてはいけないのは、R&BもHIPHOPも、時代も起源も全く異なる音楽ジャンルであったということです。細かくは、現代においても若干のサウンドの違いは得られますが、あえてわかりやすく把握するならこの定義で間違いないと思っています。

【おまけ: 「ニュージャックスウィング」や「ヒップホップ・ソウル」とは?】

80年代の末期に生まれた音楽ジャンルとして、「ニュージャックスウィング」というものがあります。R&BとHIPHOPの間とか言われたりするので、おまけ的に紹介したいと思います。

ニュージャックスウィングは、当時の名プロデューサーであるテディー・ライリーが発明したリズムミュージックです。当時クラブミュージックシーンにおいて一世を風靡したニュージャックスウィングですが、楽曲の特徴としては、HIPHOPのように跳ねるようなリズムを特徴とするR&Bで、グルーヴ感とスピード感を持った非常に「ノリ」の音楽ですね。

また、ややこしいのが「ヒップホップ・ソウル」というジャンルも存在しているところです。これは、HIPHOP風のトラックにR&Bやソウルの歌唱を乗せるといったもので、著名なアーティストにメアリー・J・ブライジがいます。ニュージャックスウィングほどの跳ね感はなく、リズムよりもメロディーや歌唱の部分に重点が置かれています。

現在では、ヒップホップ・ソウルというジャンル名は知られたものではなく、80~90年代のR&Bとして統合されています。というのも、トラックスタイルのR&Bなんて、現代のR&Bそのものじゃないですか。いわば、現代のR&Bの基盤となっているものは、この時期に生まれたメアリー・J・ブライジやTLC、ブランディーなどの楽曲であるとも言えそうです。

◎ニュージャックスウィングの名盤はこちら

(ガイ『Guy』)

※ガイはテディー・ライリーによる音楽グループ

(マイケル・ジャクソン『Dangerous』)

◎ヒップホップ・ソウルの名盤はこちら

(メアリー・J・ブライジ『What’s the 411?』)

【R&Bのオススメ名盤】

(マーヴィン・ゲイ『What’s Going on』)

(ディアンジェロ『Brown Sugar』)

(SZA『SOS』)

【HIPHOPのオススメ名盤】

(Nas『Illmatic』)

(ドクター・ドレー『2001』)

(ケンドリック・ラマー『GNX』)

以上、R&BとHIPHOPの違いとは? の完全版でした。ちなみに、細かくはもちろん違いはありますが、R&Bとソウルはほぼ同じだと考えていいと思います(マインドや時代の違いなので)。
本日もご愛読ありがとうございました!それではまた~(╹◡╹)

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