気まぐれ名盤紹介【3】 『COSMONAUT』 / BUMP OF CHICKEN

アルバムレビュー

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気まぐれ名盤紹介シリーズ第3弾です。今回はいよいよ、私が世界で一番好きなバンド、BUMP OF CHICKENに触れていこうと思います。BUMPについて語るなら、本当に何個記事を繋いでも足りないと思います(オタク)。歌詞も曲も声もすべてが最強のロックバンドですが、今回はその中でもファン人気の高い『COSMONAUT』というアルバムについての紹介に当たりたいと思いますよ。間違いなく名盤です。でも、良さの理解に少し時間がかかるアルバムでもあるのです。そんな当アルバムの魅力を、この記事では簡潔にまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください(╹◡╹) それでは本編へ

【曲目リスト】

  1. 三ツ星カルテット
  2. R.I.P.
  3. ウェザーリポート
  4. 分別奮闘記
  5. モーターサイクル
  6. 透明飛行船
  7. 魔法の料理~君から君へ〜
  8. HAPPY
  9. 66号線
  10. セントエルモの火
  11. angel fall
  12. 宇宙飛行士への手紙
  13. イノセント
  14. beautiful glider

【本アルバムの特徴】

このアルバムがリリースされたのは、アルバム『orbital period』と『RAY』の間で、2010年でした。ファンならご存知ですが、この時期のBUMP OF CHICKENは、シンセの導入や歌い方の変化など、さまざまな点で「過渡期」となっていました。そういった理由から、非常に「内省的」でありながら、妙に「客観的」な歌詞が、本アルバムの特徴となっています。また、サウンド面においても、とてもすっきりした印象があり、以前よりもポップとしての性格が強くなっている感じがあります。

BUMPの全キャリアを通しても、本アルバム収録の「HAPPY」や「66号線」、「宇宙飛行士の手紙」などはファンであればあるほど、最高傑作に選出する人が多いイメージがあります。それほど、BUMPの好きな部分、救われた部分を非常に多く含んでいるアルバムなのです(ファン目線)。BUMPが、以前までの自身のルーツ性(UKロックやオルタナ、カントリーなど)を、意識的に排除した上で、新しい路線であるポップスに向かっていくまでの葛藤が、このアルバムの内省的な要素を生み出していますね。これが、いわゆる「過渡期」なんですね。

【おすすめナンバー】

BUMPファンなら皆の賛同がうかがえると思いますが、このアルバムはあまりにも名曲の多さに優れています。「魔法の料理 ~君から君へ~」や「HAPPY」などの著名曲に加え、ファン人気の高い「66号線」や「宇宙飛行士への手紙」など。

ちなみに、私がこのアルバムの楽曲をランキング化するなら、このようになります

  1. R.I.P.
  2. 宇宙飛行士への手紙
  3. 66号線
  4. beautiful glider
  5. 三ツ星カルテット

このアルバムは、とりあえず歌詞の世界観が超越的な域にある気がします。
例えば、「beautiful glider」の歌詞、「羽のない生き物が飛べたのは羽がなかったから」は、一見すると訳の分からない歌詞に見えると思います。しかし、これはBUMP藤くんの必殺技、”矛盾”。あえて反する文を重ねることで、真理を描いているんですね。
「三ツ星カルテット」なんかは、「美しいらしい」という簡単な韻を踏んだ歌詞の中に、「らし」を「ラシ(音階)」の音にするというオシャレなアイデアが組み込まれています。
「66号線」は、初めて直接的な愛情表現を歌詞にした楽曲だと思います。普段抽象的な表現で溢れているからこそ、より強調された歌詞が響きます。

このアルバムは、名フレーズの歌詞が多すぎますよね。

声を無くしたら僕じゃなくなる それでも好きだと言ってくれますか (66号線)

死ぬまでなんて嘘みたいなことを本気で思うのは 生きている君に僕はこうして出会えたんだから (宇宙飛行士への手紙)

終わらせる勇気があるなら 続きを選ぶ恐怖にも勝てる (HAPPY)

地球で一番幸せだと思った あの日の僕に君を見せたい (R.I.P.)

特に、R.I.P.は全BUMPの曲の中でもトップクラスに好きな楽曲。この歌詞に、最初聴いた時は衝撃を受けました。

【「R.I.P.」と「宇宙飛行士への手紙」の天才的な歌詞世界】

R.I.P.と宇宙飛行士への手紙は、中枢は少し共通するような歌詞の世界観となっています。まさしく僕がBUMP OF CHICKENを好きな理由が、ここに詰まっています。

まず、R.I.P.とは、死者への追悼の言葉です。しかし、ここでは、愛する人に出会えた自分が、愛する人と出会う前の自分に向けて、つまりは”過去との決別”という意味で、R.I.P.を送っているのです。Aメロは、ノスタルジックな、少年時代の何気ない生活を歌詞にしています。自分にも、愛する人にも、そんな過去があった。なのに、私は出会ってからのあなたしか知らないし、あなたも出会ってからの私しか知らない。そんな、お互いの知ることのできない「過去」に対しての追悼なのです。
「変わっていくのなら全て見ておきたい 居なくなるのなら居た事を知りたい」という歌詞は、「今」のあなたへの思いなのです。それを知った上で、「地球で一番幸せだと思った あの日の僕に君を見せたい」という歌詞を見ると、涙なしには聴けませんね。

宇宙飛行士への手紙は、大切な人のいる世界を、時間も距離も離れてしまう「宇宙」に例え、そんな「宇宙飛行士」であるあなたに対してのメッセージを手紙として綴っている歌詞です。
「出来るだけ離れないでいたいと願うのは 出会う前の君に僕は絶対出会えないから」というサビの歌詞が言うように、こちらもR.I.P.と同じく、あなたを知る前のあなたを知らないという、”過去と現在の対比”がテーマになっています。この対比が、いわゆる「宇宙」なのです。個人的に好きな歌詞は、「匂いもカラーで思い出せる 今が未来だった頃の事」というフレーズですね。感覚的なものの表現があまりにも上手すぎるし、「過去」を「今が未来だった頃」と言い表せる作詞力にも脱帽です。

以上、気まぐれ名盤シリーズの第3弾でした。今回はアツくなりすぎました。またBUMP特集、組みたいですね。本日もご愛読ありがとうございました!それではまた~(╹◡╹)

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