HIROSEのミュージックバーへようこそ。こちらのブログでは、音楽を中心としたさまざまな情報を気まぐれに発信しています。
今回は、アフリカンアメリカンにおける革新的な瞬間について見ていきたいと思います。JBやスライ、スティーヴィーワンダーやマーヴィンゲイ、マイケルジャクソンやプリンスなど、正直全て見ていこうとするとキリがないのですが、ある種近似的な以下のアルバム3枚を一本の軸として語ってみようというものです。
【① ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス『Electric Ladyland』 (1968)】

『Electric Ladyland』は、ジミヘンドリックスエクスペリエンスによる生前ラストアルバムであり、60年代ロックスの集大成的な作品です。
1作目のブルースロックと2作目のR&B的なエッセンスをジャンルレスにパッケージした、2枚組の超大作になっています。
ジャンルレスで壮大な完成度、サイケの金字塔、サウンドプロダクションの開拓、カバー楽曲(ボブ・ディラン「All Along the Watchtower」)の実質的ないわゆる原曲超えなど、さまざまな偉業を達成しました。今の耳で聴いてもありえないアルバムだと思っています。黒人音楽であるブルースロックを、驚異的なセンスでジャンルを横断し拡張させたという点でこのアルバムは偉大だと思います。
【② ディアンジェロ『Voodoo』 (2000)】

90年代を経て、R&Bというジャンルが本格的に全市場のトップになった時、新たにネオソウルというジャンルが誕生しました。世紀を跨ぎながら発生したこのジャンルは、ソウルを基盤にしつつも、先進的なリズムアプローチやさまざまなジャンルの融合などにより、より洗練されたR&Bとなりました。
ネオソウルが現代のポップシーンにおいて極めて強い影響力を持っていることは、感覚的にわかると思います。そんなネオソウルの時代に、圧倒的にモタついた、極めて先鋭的なリズムを広めたのが、ディアンジェロの『Voodoo』でした。生楽器と黒人的なリズム感覚でしか成し得ない、タイミングを敢えて揃えないノリにより生まれる独特のグルーヴは、とてつもなく肉体的で、2000年以降の音楽シーンに絶大な影響を与えることとなりました。
R&Bは90年代の大量生産により、時を経てどんどん綺麗に、整頓された完全的な音楽になっていきました。それを一気に崩したのがこのアルバムです。でもそれが逆に”新しい”のだから凄い。
【③ ケンドリック・ラマー『To Pimp a Butterfly』 (2015)】

2010年代をレペゼンする大名盤と言えば、ケンドリックラマーの『To Pimp a Butterfly』(TPAB)が間違いなく筆頭に上がりますよね。
アルバム単位の芸術表現を社会的なメッセージとともに行ったブラックミュージックは、マーヴィン・ゲイの『What’s Going On』以来と言っても過言ではないと思います。単に完全なHIPHOPとしてそれを表現することはあれど、それをジャズやファンクなど、黒人音楽の総合としてのHIPHOPとして表現したのは凄く新しかったと言えますね。
“Black Lives Matter”の象徴として、黒人の怒りや自己嫌悪などを極めて高次元な音楽で表現し、HIPHOPの持つ力を新たな形で最大限に拡大させました。何より、デヴィッド・ボウイがこのアルバムの先鋭的なサウンドとアルバム芸術に影響を受け『★』を完成させたことは、音楽史に残る意義であったと思います。
【3枚に共通する黒人ポップスにおける”革新”とは?】
① 完成されたジャンル壊す(崩す)ことで、新たな次元に到達
ジミヘンはロックを、ディアンジェロはR&Bを、ケンドリックはHIPHOPを崩しました。それも極めて計算高く崩し、新たな形へと生まれ変わらせました。
② 肉体性
『Electric Ladyland』 も『Voodoo』も『To Pimp a Butterfly』も、全て肉体的な音楽でした。ジミヘンに関してはそもそも当時のロックという時点で肉体的なのですが、R&BやHIPHOPに関してはこの時代トラックメイキングが主流ですので、生楽器による構成が味を出しているVoodooとTPABは、生温かい身体性を感じさせます。
③ メッセージ性
まずはジミヘンについてです。当時ロックは白人で占められており、黒人が一線でロックをできた時代じゃありませんでした。それを、圧倒的なサウンドと表現力でひっくり返しました。その事実が最大のメッセージ性を持っていると思います。
次にディアンジェロ。直接的なメッセージ性や社会性、政治性は持っていませんが、当時商業的なR&Bがポップシーンの最前線にいた時代に、それに対するカウンター的な形で市場を制しました。そのようなポップシーンからの解放は、ブラックミュージックの可能性をまた一段と広げることに寄与しました。
最後にケンドリックですが、歌詞や構成がまさに社会的なメッセージを多分に含んでいます。ロックやR&Bとは異なるHIPHOPの最大の強みである”言葉”の力を、極限まで生かし切り、アンセムとして政権を握りました。黒人差別や内省、搾取や祈りなど、黒人の歴史と未来を包括的に描き切りました。
以上です。要は、3枚の共通点は”黒人の音楽史における革命の瞬間”であり、”既存のポップシーンからの解放と自由”であると言えますね。
本日もご愛読ありがとうございました!それではまた~(╹◡╹)


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